
体外衝撃波(集束型)
体外衝撃波(集束型)
体外衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、身体の外から患部に衝撃波を照射することで、慢性的な痛みや筋肉の柔軟性を回復させる低侵襲な治療です。手術や注射が不要であり、日帰りで実施ができる治療です。
体外衝撃波・圧力波治療には、大きく「集束型」と「拡散型( 放射状圧力波)」があり、当院では「集束型」を用いています。
集束型 | 拡散型(放射状圧力波) |
・深部までエネルギーが届きやすい ・狙った組織に集中的に照射しやすい | ・比較的浅い部分に広く作用 ・広範囲へ照射 |
当院では、痛みの部位だけでなく、筋肉の硬さや柔軟性、関節の動きなどを評価し、必要に応じて体外衝撃波治療とリハビリテーションを組み合わせます。
すべての症状に適しているわけではないため、診察や画像検査、身体機能評価を行ったうえで治療の適応を判断します。
対象となる疾患
体外衝撃波治療は、主に次のような症状・疾患で用いられています。
症状
肩こり・首こりが慢性化している
筋肉のしこりや硬さが気になる
テニス肘がなかなか治らない
足裏やかかとの痛みが続い ている
肩の石灰沈着性腱板炎と言われた
スポーツ後の慢性的な痛みがある
筋筋膜性疼痛
足底筋膜炎
石灰沈着性腱板症
外側上顆腱障害(テニス肘)
その他
体外衝撃波治療のメリット
体外衝撃波治療は、日帰りで実施ができるなどのメリットがあります。
皮膚を切開しない
患部への注射を必要としない
日帰りで治療ができる
通常は治療後に歩いて帰宅できる
ストレッチや運動療法などのリハビリテーションと組み合わせることができる
また、近年の研究では、筋筋膜性疼痛(きんきんまくせいとうつう)(肩こりや首こりが慢性化し筋肉の一部が硬くなって痛みを伴う状態)や筋肉の伸長性・柔軟性に関する研究の報告もされています。
慢性的な筋肉の痛み慢性的な筋肉の痛みには、筋肉や筋肉を包む筋膜に生じた異常によって引き起こされる痛みがあります(筋筋膜性疼痛)。近年、肩や首、背中などの筋肉による痛みに対しても、体外衝撃波治療の有効性が研究されており、痛みの軽減や身体の動かしやすさの 改善が報告されています。 |
筋肉の柔軟性体外衝撃波治療後に、ハムストリング(太ももの裏の筋肉)などの筋の柔軟性が改善した研究も報告されています。さらに、ストレッチを組み合わせることで、柔軟性の改善が一定期間維持された研究もあります。 当院では、筋肉の硬さや柔軟性の低下が症状に関係している場合に、体外衝撃波治療に加え、ストレッチや運動療法を組み合わせて治療を行います。 |
慢性的な腱の痛み体外衝撃波治療は、足底腱膜炎や石灰沈着性腱板症、テニス肘など、慢性的な腱の痛みに対しても多く研究されており、痛みや機能の改善が報告されています。 一方、期待できる効果は疾患によって異なるため、診察や画像検査、身体機能評価をもとに適応を判断しています。 |
デメリット・注意点
体外衝撃波治療は照射時に痛みがある、継続して治療が必要な場合があるなどの注意事項もあります。治療のリスクや副作用についても後半で紹介していますので、治療をご検討の方はご確認ください。
照射時に痛みを感じることがある
治療後に一時的に痛みが増えることがある
皮下出血や腫れなどがある
1回の治療で症状が改善するとは限らない
疾患や症状によってエビデンスの強さが異なる
すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではない
自由診療となる場合には治療費が自己負担となる
治療の流れ
STEP 1
診察・症状の確認
痛みの部位、症状が出る動作、これまでの経過、スポーツや日常生活で困っていること、これまでに受けた治療などを確認します。
STEP 2
画像検査・身体機能の評価
必要に応じてレントゲンや超音波(エコー)などの画像検査を行います。
また、痛みの部位だけでなく、筋肉の硬さ、柔軟性、関節可動域、筋力、身体の使い方などを確認し、症状に関係している要因を評価します。
STEP 3
治療適応の判断
診察や検査、身体機能評価から、体外衝撃波治療が適しているかを医師が判断します。
症状によっては、体外衝撃波治療よりも運動療法、ストレッチ、薬物療法、注射などの治療を優先してご提案する場合があります。
STEP 4
体外衝撃波治療

治療する部位を確認し、皮膚に専用のジェルを塗布して治療ヘッドを当てます。
患部の状態や痛みを確認しながら出力を調整し、衝撃波を照射します。当院では集束型体外衝撃波を用い、1回につき2,000発を基本として治療を行います。
STEP 5
治療後の評価
治療後に、疼痛だけでなく、圧痛、関節可動域、筋肉の柔軟性、身体の動かしやすさなどの変化を確認します。
STEP 6
リハビリテーション
筋肉の柔軟性や筋力低下、身体の使い方などが症状に関係している場合には、体外衝撃波治療後にストレッチ、運動療法、筋力トレーニング、動作指導などを組み合わせます。
体外衝撃波治療によって痛みや身体の動かしにくさの改善を図り、運動療法につなげることで、症状の改善と身体機能の改善を目指します。
※本画像は治療の流れを分かりやすく表現するため、生成AI画像を用いています。
※治療の流れは一般的な一例となります。患者さまのお身体の状態や症状、診察結果によっては、追加の検査が必要となる場合や、治療内容の変更をご提案させていただく場合があります。また、適応外と判断された場合は治療をお受けいただけない場合もありますので、あらかじめご了承ください。
治療回数・期間の目安
体外衝撃波治療では、疾患や目的によってさまざまな治療方法が報告されています。
筋肉の慢性的な痛み(筋筋膜性疼痛)を対象とした研究でも、週1回、3~4回程度治療する方法が多く用いられています。
一方、最適な治療回数、間隔、出力については疾患ごとに統一された基準があるわけではありません。
当院では、治療後の疼痛、筋の硬さ、柔軟性、身体機能などの変化を確認しながら治療回数を決定します。
標準的な費用
体外衝撃波治療は、慢性腱障害や筋骨格系疼痛に対して行う治療です。
当院で行う体外衝撃波治療は自由診療です。なお、難治性足底筋膜炎は一定の要件を満たす場合に保険診療の対象になる場合があります。
治療内容 | 費用(税込) |
体外衝撃波(集束型)2000発 1回 | 13,200円(税込) |
主なリスク・副作用
体外衝撃波治療では、治療中 または治療後に以下のような症状が生じることがあります。
照射中の痛み
照射部位の発赤
腫れ
圧痛
皮下出血・内出血
血腫
一時的なしびれや神経刺激症状
一時的な症状の増悪
多くは一時的で軽度ですが、症状が強い場合や長く続く場合にはご相談ください。
よくある質問
体外衝撃波はどんな症状に効果が期待できますか?
体外衝撃波治療は、筋筋膜性疼痛、筋・筋膜周囲組織の硬さ、筋の伸長性低下、慢性的な腱・腱付着部の痛みなどに対して研究されています。
特に筋筋膜性疼痛では、ランダム化比較試験をまとめたシステマティックレビューで、疼痛の軽減や圧痛閾値、身体機能の改善が報告されています。
また、足底腱膜炎や石灰沈着性腱板症などでも複数のランダム化比較試験が行われています。
すべての痛みに同じような効果が期待できるわけではないため、診察や画像検査、身体機能評価を行ったうえで適応を判断します。
体外衝撃波は何回行うのがいいですか?
疾患や症状によって異なります。筋骨格系疾患を対象とした研究では、1週間程度の間隔で3回前後治療する方法が多く用いられています。筋筋膜性疼痛でも、週1回程度、数回の治療を行う研究が多くみられます。ただし、「3回行えば必ず改善する」というものではなく、最適な治療回数や間隔は疾患によって統一されていません。
当院では、痛み、筋肉の硬さ、伸長性、身体機能などの変化を確認しながら治療回数を決定します。
体外衝撃波を受けた後は歩いて帰れますか?
通常は歩いて帰宅できます。
皮膚を切開したり患部に注射をしたりする治療ではないため、基本的には治療後すぐに日常生活へ戻ることができます。
ただし、足底など荷重する部位に照射した場合には、一時的に痛みや違和感が生じることがあります。症状が強い場合には無理をせず、医師やスタッフの指示に従ってください。
翌日から運動・トレーニングをしてもいいですか?
軽い日常動作や運動は可能な場合が多いですが、疾患や治療部位、症状によって異なります。
体外衝撃波治療後には、一時的に痛みが軽くなることがあります。しかし、痛みが軽くなったからといって、筋や腱の組織がすぐに強くなったわけではありません。
そのため、治療直後から急に運動量やトレーニング強度を上げることはおすすめしていません。
当日の激しい運動は控え、翌日以降の運動についても症状を確認しながら段階的に再開します。競技復帰や高負荷トレーニングについては、医師・理学療法士と相談しながら進めます。
照射部位が痛みますが、問題ないのでしょうか?
照射中や治療後に痛みを感じることは珍しくありません。
一時的な圧痛、赤み、腫れ、内出血などが生じる場合がありますが、多くは軽度で一時的です。
治療時には、痛みの程度を確認しながら出力を調整します。
治療後に強い痛みが続く、腫れや内出血が著しい、しびれや筋力低下などが出現した場合には、医療機関へご相談ください。
衝撃波の出力を上げれば上げるほど効果はありますか?
必ずしもそうではありません。
石灰沈着性腱板症など一部の疾患では、高エネルギーの体外衝撃波治療が低エネルギー治療より良好な結果を示したランダム化比較試験があります。
一方で、すべての疾患について「出力が高いほど効果が高い」と証明されているわけではありません。
また、出力を上げるほど照射時の痛みや不快感も強くなる傾向があります。
そのため、単純に最大出力で照射するのではなく、治療部位、疾患、症状、痛みへの耐容性などを考慮して適切な出力を設定します。
参考文献
作成日:
2026年10月2日
更新日:
2026年10月2日
監修:
東京メディサイトクリニック院長/整形外科 高岡宏行
03-
6427-3033